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肝斑はしみの一種ですが、他のタイプのしみと性質や治療法が大きく異なるため、別項目を設けてご説明致します。
肝斑は、ほとんどが女性に生じ、通常のしみと違って明瞭な境界がなく、主に両頬の高い位置に地図状にもやもやしたくすみのような色素斑として見られます。
なぜ肝斑が出現するかという根本的な原因ははっきりとは分かっていませんが、悪化要因は色々と知られています。
通常のしみでもある種の慢性疾患として総合的治療が必要なことが多くありますが、肝斑はそれ以上に飲み薬、塗り薬、肌への治療などを総合的に行っていく必要があります。
患者様ご自身で肝斑ではないかと考えて来院されて、「このしみは肝斑でしょうか」という質問を受けたりすることがよくあります。
しかし、実際に拝見してみると肝斑ではないことが珍しくありません。
明確に肝斑ですと言い切れるケースももちろん沢山ありますが、肝斑かどうかはっきりしないケースもまた多くあります。
また、他院で肝斑との診断を受けていても、よく拝見すると頬のくぼみが影のように見えているだけで、肝斑は実はないということもよくあります。
肝斑の診断には、色素斑の分布状況、肌全体の色調や質感、凹凸の状態の確認だけでなく、既往歴や生活習慣等のヒアリングも重要で、多くの場合は総合的に判断して診断を行います。
肝斑に限ったことではありませんが、最初の診断が誤っていると、その後の治療で効果が出ないか、場合によっては悪化したり副作用が生じたりすることもあります。お顔の色素斑が気になっている方はまずはしっかりした診断を受ける必要があります。
肝斑の治療では、まずは何といってもトラネキサム酸の内服が重要です。
トラネキサム酸の内服は肝斑治療の土台と言ってもよく、何らかの理由でトラネキサム酸を飲めない場合は、治療に相当難渋することが多くあります。
トラネキサム酸とともに、ビタミンC、ビタミンE、Lシステインなども併用していただくとさらに効果的です。
当院では、トラネキサム酸、ビタミンC、ビタミンEをまとめて「肝斑セット」という形で処方を用意しています。
内服の次に大事なのが、美白剤を塗っていただくことです。
ハイドロキノンやルミキシル、トレチノインなどを組み合わせていきます。
その次に重要なのが皮膚自体に行う施術になります。肝斑に対しては、レーザートーニング、ピコレーザートーニングを照射するのがもっとも効果的ですが、ご意向やご予算、肝斑のタイプによっては、別の治療(ケミカルピーリングやライムライトというIPLなど)をご提案することもあります。
非常に難治性の場合は、トラネキサム酸を主成分とした注射を受けていただくこともあります。
これらと同時に、保湿を中心とした日々のスキンケアや生活習慣改善もしっかり行っていく必要があります。
肝斑は美容皮膚科の中でも最も総合的な治療が必要な疾患のひとつだと言えます。
スキンケア、生活習慣改善、内服、外用、レーザー等の施術、場合によっては注射などが必要になります。
治療期間も長期になることが多いですので、信頼関係を築ける医療機関での治療をお勧めします。
なお、肝斑がある方でも、実際は肝斑以外の通常のシミやそばかすも合併していることがほとんどです。
肝斑以外のしみは薬への反応が高くないため、肝斑のみならず、肝斑以外の通常のシミを含めて肌全体に明るくしていきたい方は、積極的にレーザートーニング等の肌治療を受けていただくことをお勧めします。
まずしばらく内服や外用を頑張っていいただいて、経過を見てから肌治療を始めるかどうか検討するという方法もあります。