ほくろ

ホクロは医学的には色素性母斑(しきそせいぼはん)あるいは母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)と呼ばれています。
母斑細胞という本来の皮膚にはない細胞が集まってできており、ある種のできものです。
多くは細胞内にメラニン色素を含んでいるために褐色または黒色の斑を呈し、形は平らなこともあれば半球状に隆起することもあります。
中には毛が生えているものもあります。また、浅いものから相当深いものまであります。

診断

ホクロかどうかの診断は通常は容易ですが、色素が薄いものなどではほかの良性腫瘍との鑑別が必要になる場合があります。

また、極めてまれに悪性のホクロがあります。
急に大きくなった、色素が周囲に染み出ている、出血するなどの徴候がある場合は早期の受診をお勧めします。

万一、ご相談いただいたホクロに悪性の可能性が否定できない場合は、大学病院等の医療機関にご紹介いたします。

治療

通常のホクロであると診断された場合、医学的には特に治療を要しません。
しかし、美容上の理由で除去を希望されることが多々あります。
ホクロの除去方法としては、おおむね以下のような方法が考えられます。
基本的にホクロの細胞を取り除く、または破壊することが必要になります。
当院では原則として④の炭酸ガスレーザーを使った除去を行っています。

① 外科的切除・縫合
② くり抜き法
③ 電気メス焼灼法
④ 炭酸ガスレーザー蒸散法
⑤ その他

炭酸ガスレーザーによる治療

美容皮膚科ではもっともポピュラーな治療法です。
炭酸ガスレーザーは皮膚科に限らず、耳鼻科、婦人科、歯科などでも使用され、基本的に組織を破壊するレーザーです。
皮膚科領域では、ホクロやイボの治療で使用します。
通常、ホクロを除去する場合は「蒸散」という方法で行います。
ホクロにこのレーザーを照射すると、上層から組織が破壊され、破壊された組織は瞬間的に気体に変化します。
ホクロの組織と思われる部位をすべて蒸散して終了となります。
なお、通常は1回で除去する方法をお勧めしていますが、大きくて盛り上がっているホクロについては、なるべく綺麗に仕上げるために複数回に分けて治療することをご提案することもあります。

実際の治療の経過は下記のようになります。

① 治療するホクロ部位を消毒のうえ、局所麻酔の注射を行います。

当院では、麻酔時の痛みを軽減するため、注射前に冷却を行い、注射針は30Gの非常に細いものを使用し、 麻酔薬のpHを調整して皮膚への負担が少ない薬を使用しています。ただし、これでも痛みがなくなるわけではないので、特に痛みがご不安な方は、注射前にテープやクリームの麻酔を併用することもできます。

② 注射すると速やかに痛みを感じなくなりますので、すぐにレーザー照射を開始します。

③ ホクロの大きさや深さなどに応じて、照射の設定を細かく調整して、できる限り皮膚へのダメージを最小限にするように照射していきます。

当院では肉眼だけでなく、ルーペも使用して、できる限り色素の残がないように留意しています。

④ ホクロの細胞をすべて除去すれば、レーザー照射は終了です。

通常はすこし窪んだ生傷になっています。
ここに医療用の創傷被覆材(シール)を塗布して終了です。

⑤ シールは原則的に2週間貼付したままにしていただきます。

なるべく貼り換えをしない方が、傷は綺麗に治りやすいです。
小さいホクロや浅いホクロでは、1週間程度の貼付でよい場合がありますし、逆に大きいホクロや身体のホクロでは1月間程度貼付が必要になることもあります。

⑥ 通常は2週間後にシールを貼付した状態で診察に来ていただきます。

シールをはがして、傷が治っていれば(上皮化といいます)、シールを貼らなくてよくなります。この段階からは直接化粧もできるようになります。

⑦ UVケアや美白剤塗布などのケアをシール除去後から始めていただくことをお勧めしています。

⑧ 1月後(治療時からは1月半後)を目途に経過の診察に来ていただき、傷の経過に問題がなく、再発していなければ一旦終了となります。

【担当医より一言】

ホクロを除去する方法は色々とありますが、「適切に」治療する限り、炭酸ガスレーザーでの治療がもっとも綺麗に除去できると考えます。
外科的切除に比べて手軽であるというメリットもあります。
ホクロの治療は、ホクロというものの性質上、どうしても何らかの痕が残ることは避けられません。

しかし、丁寧に治療することでその痕を最小限にできます。
逆に大雑把な治療をすると、相当目立つ痕になることがあります。
当院では、ホクロによってレーザーの照射設定を細かく調整するほか、肉眼だけでなくルーペでも確認することで、できる限り皮膚のダメージを最小限にしつつ、細胞の残りを減らすように工夫しています。

よくあるご質問

ホクロを除去すると必ず痕が残りますか?

多くのホクロは、真皮まで細胞が存在しており、基本的にこの層まで皮膚にダメージが加わると、どうしても何らかの痕が残ってしまいます。
もっとも、ごく浅いもの、小さいものであれば、少なくとも肉眼的には全く痕が分からない、よく見てようやく傷跡が分かる、と言った程度に治癒することは珍しくありません。
また、どのようなホクロを除去しても、ある程度の時間が経過すれば、化粧をすれば分からない程度にはほとんどが治癒します。
どうしても傷跡が気になる場合は、別途傷跡を綺麗にしていく治療もご提案できます。
当院では、他院で除去したホクロの傷跡治療も行っていますので、お気軽にご相談ください。

ホクロは一度取ればもう同じ場所には出てきませんか。

残念ながら、一度除去してもまた同じ場所にホクロが出てくることがあります。
いわゆる再発です。再発自体はそれほど珍しいことではありません。
もし、気になる程度に再発していれば、また再度の治療が必要になります。
なお、再発は、どんな治療方法によっても生じる可能性があります。
その中でも、外科的切除が最も再発しにくいですが、再発する可能性はゼロではありません。

ホクロが絶対再発しないように治療することはできませんか?

理論的には可能です。
顕微鏡レベルでは、ホクロの細胞は肉眼的に確認できるホクロよりも周囲に広く分布しています。
これらをすべて除去してしまえば絶対に再発しませんので、ホクロの周囲の皮膚を広く除去または破壊してしまえばよいのです。
しかし、これはとてもお勧めできません。
通常の治療法に比べてかなり大きく削る必要があり、傷跡も相当大きくなります。
悪性を疑っているならともかく、良性のホクロを美容上の目的で除去するのであれば、ある程度再発する可能性を受け入れていただいて、通常の治療法で行うのが望ましいです。

ホクロを治療したあと、傷が完全に落ち着くにはどれくらいの期間がかかりますか?

通常、治療後2週間でまず傷としては治癒します。
すなわち、生傷の部位に新しい皮膚が張ります。
しかし、この時点では、通常赤みと凹みがまだ存在しており、見た目上はそれなりに目立つ状態です。
その後時間の経過とともに赤みが薄くなり、凹みが改善して平らに近づいていきますが、赤みが完全になくなるのにはお顔で半年から1年程度要するのが標準的です。
凹みは赤みが存在しているうちは改善してきますが、全く赤みがなくなるとそれ以上の改善は難しくなります。
したがって、ある程度の時点でまだ凹みが強く残っている場合は、外用薬やレーザーなど、ご希望に応じて追加的なケアをしていく可能性があります。
体質によっては、赤みだけでなく色素沈着を生じることもあります。
色素沈着が定着してしまうとしみになってしまいますので、当院の場合は、シールが取れた以降は、UVケアとともに美白剤の塗布をお勧めしています。

ダイオードレーザーで除去する方法があるようですが?

ダイオードレーザーは一般に脱毛に使用されるレーザーです。
元々黒いものに強く反応する性質を利用して脱毛効果を生じていますので、同じく黒さのあるホクロにもレーザーは強く反応します。
しかし、一般にこのレーザーを照射してホクロを除去することはお勧めしません。
かなり薄いホクロ、浅いホクロであれば除去できる可能性がありますが、そうでなければこのレーザーで除去するのは困難です。
無理に除去しようとするとレーザーのエネルギーを上げるしかありませんが、そうすると、皮膚の深いところに強いダメージが加わり、結局相当痕に残ります。

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